【プーシキン美術館展】ゆったり観たい

上野の東京都美術館で開催中のプーシキン美術館(シチューキン・モロゾフコレクション)を鑑賞してきました。最初の展示室から、いきなり僕好みの印象派ラッシュです。しかも、ルノワールドガピサロなど、その作品も自分の部屋に置きたいと思うようなもの。収集したふたりの富豪と、趣味が合うのでしょうか。時間をかけて、人が少ない時間にゆったり観たい展示です。

ルノワールの「黒い服の娘たち」は、彼の作品にしては珍しく目鼻立ちがくっきりと描かれています。特に唇と目の描き方が、イラストのような、子どもの書くマンガのようなタッチなのが興味深かったです。もうひとつ特に印象に残ったのが、ゴッホの「刑務所の中庭」です。プーシキンに収蔵されているという事実とあいまって、ドストエフスキーの書くロシアのような抑圧された庶民の暗さを鮮烈に感じました。

そして最大の収穫は、これまであまりよく知らなかったカリエールの作品に触れたことです。ぼやけたような色遣いの中にストーリーを感じさせる構図の「母の接吻」は必見です。その昔、六本木のストライプハウス美術館で見た秋岡美帆の色彩だけの作品を思い起こさせてくれました。そうそう、マティスの金魚は僕の記憶にはあまり残らなかったな。

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