【人事の話】裁量労働の後退

日本の行政府は、またしても労働時間のあり方を後退させてしまいました。裁量労働制の拡大を法案から切り離してしまったということですが、これは以前から労働組合が目の敵にしている制度で、このブログでも再三この問題を取り上げています。

以前書いた内容の繰り返しになりますが、「基本給が同じふたりの社員がいて、Aさんは能力がないから残業を月50時間しないと課題を達成できないけど、Bさんは就業時間内で終えることができるとすると、収入でAさんの方が上回ってしまう」事態への対処策でもあると言えます。うまく段取りをつけることを褒賞するのですから、まさに「働き方改革」と連動した考え方です。

労働界が反対するのは、そんな権限も与えられずに課題だけ降ってきて、残業しなければならない事態しか想定しないから。それに不満でも転職するだけの勇気が持てないということなのでしょう。法案でもかなり制約を設けていましたし、まともに運用されれば誰も損をしないはずなのですが、それだけ使用者側への信用がないのでしょうね。