【アイスアリーナ】NHLサイズの功罪

フィギュアスケートのグランプリ大会を見ていると、米国やカナダの大会では選手が壁に接近し過ぎてミスする場面に多く出逢います。これは、知っている人には当然の事実ですが、北米のアリーナがNHLサイズになっているせいなんですよね。国際規定のサイズは30m×61mですが、北米で開催されているアイスホッケーNHLのサイズでは横は同じものの、縦が26mと4mも短いのです。

国際ルールと各国リーグで条件が異なることは珍しいことではなく、例えばバスケットボールでも国際ルールではクォーターが10分なのに、NBAルールは12分です。これはテレビ放送の都合に合わせたと言われています。サッカーでも、それほど知られていないと思いますが、同様のことがあります。FIFAの国際大会の基準によるピッチサイズは、タッチラインが100~110mでゴールラインが64~75m。一律でないという事実も、あまり知られていませんよね。そしてJリーグの規定では、105m×68mとされています。だから、コーナーキックの際の距離感や試合中に走る距離にも、微妙に影響するんですね。

さて、アイスアリーナに戻りましょう。NHLくらいのハイレベルの試合では、確かにスペースがない中でのテクニックやアジリティを見ることは大きな楽しみ。しかし、オリンピックは国際ルールが標準とはいえ、バンクーバー大会のような北米開催ではNHLのアリーナを使用します。各国でリーグが興業としてなりたってはじめてスポーツが成り立つ現代では、状況を揃えるのは難しいのでしょう。それでも、アイスホッケーの影響がフィギュアスケートに及ぶように、思いもよらないところに作用しているのは公平な状況とは言えません。公平なようなスポーツの世界ですが、こんな落とし穴もあるのです。