【映画】ノーコメント by ゲンスブール

フランスのシンガーであり、作曲家、俳優、そして映画監督でもあるセルジュ・ゲンスブールドキュメンタリー映画「ノーコメント by ゲンスブール」を見るために、吉祥寺バウスシアターまで出掛けました。11時からの上映だけで先着順なので早目に家を出ましたが、スクリーン2の観客は8人だけでした。

まず、セルジュ・ゲンスブールがロシア系のユダヤ人であることは知りませんでした。彼の歌から始まり、ピアノ演奏や合奏指揮まであり、全編に流れる音楽の構成も演奏も秀逸です。ボリス・ヴィアンも登場し、音楽映画としても十分に楽しめます。彼の父親は画家でもあり、その夢を息子に託したとのこと。セルジュの多才な芸術性は、芸術の根っこにある感性のなせる業なのだと確信しました。自分の容姿にコンプレックスを抱きながらも、それにこだわらずにジェーン・バーキンブリジット・バルドーと交際してしまうあたりは、さすがに「アムールの国」フランス人の気質ですね。

この作品の中でのクライマックスとも言える彼が淡々と歌う「ラ・マルセイエーズ」に籠められた情熱は、計り知れないものがありました。一方で唯一残念だったのは、僕の好きなシャルロット・ゲンスブールの登場シーンが少なかったこと。セルジュにとって愛娘たるシャルロットは、彼の「ロリータ」でもあると語られています。肉体的な意味ではないという注釈つきでしたけどね… 余談ですが、全編を通してほぼ常にタバコの紫煙が映像に流れていたことが、いかにもフランス的だと感じました。

先日、これも劇場で鑑賞した「ビル・カニンガム&ニューヨーク」も面白かったけど、音楽や編集まで含めた総合点で評価すると、この「ノーコメント by ゲンスブール」の圧勝でした!

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