【東京都写真美術館】マリオ・ジャコメッリ展

土曜日は仕事だったものの早く終わったので、会社帰りに恵比寿の東京都写真美術館に立ち寄ってみました。ちょうど開催していたのは「マリオ・ジャコメッリ展」でした。ポスターを見た印象では詩的でリリカルな写真という雰囲気だったのですが、実際の展示はとても直接的でリアリズムの塊のようでした。

マリオ・ジャコメッリはイタリア人で、「黒」と「白」のコントラストで「死」と「生」に立ち向かい、孤高の写真表現で現実を抽象した作品群は、多くの人々の心をとらえたという説明が美術館のホームページに記載されています。ここで僕が感じたのは、カメラマンは「対象をどう撮るか」よりも「いかに撮るべき対象に出会うか」が重要だということ。画家が心象風景をも表現できるのに比べ、カメラマンは目の前にある真実しか撮れないからです。

展示の中には、目の前にある死に直面しながら生きる老人の姿があります。目を背けたくなるような現実を正視することで、生きることの意味を問いかけているように感じました。決して心地よい空間ではないのですが、敢えて目を背けている生と死について考えさせられるきっかけになりました。

http://syabi.com/contents/exhibition/index-1807.html