【U-20女子ワールドカップ】予選リーグ総括

サッカーのU-20女子ワールドカップは、予選リーグを終了した。フジテレビのマーケティングは、なでしこJAPANの実績にバレーボールでは定石のアイドル路線を加味しており、サッカーファンにとっては心地よいものではなかった。フジがイチオシだった仲田はオウンゴール以降出番を失い、猶本と田中陽子は輝きを増している。仲田を捨石にしたと考えれば効果絶大だが、そこまで思い通りに進むはずもない。

今大会で注目したいのは、日テレベレーザのFW田中美南とDF土光だ。田中美南はレギュラー候補には目されていなかったが、再三のチャンスメイクで完全に右ウィングの定位置を確保した。土光は16歳とは思えないクレバーなプレーを見せる反面、裏を取られる場面も散見される。まだ成長の伸び代はあるだけに、今後に向けてよい経験になるだろう。

ヤングなでしこ」というどうしようもない名称を与えられたU-20日本女子代表は、チームでの戦術は誰が出ても完璧に近い。フォーメーションや動き、体の入れ方など、この世代としては傑出していると言ってよい。しかし、それは個人能力の不足を補ってのこと。かつての日本男子サッカーが「高校総体がピーク」と揶揄されたように、この形では成熟が早い反面、爆発的な成長は望みにくい。この勢いを維持するためには、常に若い世代を掘り起こしてゆくしかないのだ。