【ボルトン―チェルシー】GKの悲劇

ボルトンリーボックスタジアムで行われた、ボルトン・ワンダラーズチェルシーのゲーム。結果から見ると1-5でチェルシーがワンサイドの快勝だが、見どころは別のところにあった。序盤からすでに2点をリードしたチェルシーは、ペナルティエリア付近から右サイドに展開し、切り返したスタリッジが放ったシュートをGKボグダンは稚拙な弾き方をしてしまい、あっさりと3点目が入ってしまう。

この時点でリーボックスタジアムのサポーターは、かなり白けた状況になってしまった。それなのに、さらに2分後の前半27分にはダビド・ルイスミドルシュートをボグダンが前に弾いたところを、ランパードが詰めて4点目を奪う。3点目と4点目は明らかにGKのミスで、これで完全にベンチもサポーターも糸が切れてしまった。そうなると、監督はこの流れをがGKの問題であることを浮き彫りにするために、ハーフタイムで交代させたくなるところ。その交代で流れが変わらなくても、それは監督の責任ではないと開き直れるから。

しかし、その決断を困難なものにしたのは、前半終了間際に見せたボグダンのファインセーブだった。これでボグダンのプレーは落ち着いてしまったし、そうなった以上は彼をスケープゴートにする意味合いは薄れた。結局ボルトンが1点を返したものの、ランパードハットトリックを決めて突き放した格好になった。監督のベンチワークを想像しながら観戦する戦術マニアにとっては、なかなか面白いゲームだったと言えるだろう。