【カールじいさんの空飛ぶ家】純粋に絵を楽しむ

ファンタジーを見慣れていないせいか、この世界に入り込むまでには時間がかかりましたが、入ってしまえばそれなりに浸ってしまうことができました。「カールじいさんの空飛ぶ家」の良さは、前半のあっという間に過ぎるカールとエリーの若い頃のストーリーから始まります。スナップショットで表現される奥さんのエリーの表情が活き活きとしていて、本当に素敵なのです。

ストーリーにはかなり無理があり、特にラッセル少年の絡み方に必然性がまったくないのが痛いところですね。ただ、パラダイスフォールのようなところがあったら、僕もきっと行きたくなってしまうと思います。それが亡き妻の思い描いた夢だとすれば、なおさらでしょうね。アニメなので子ども向けのように見えますが、実は大人、それも年配の人が自分の人生に重ね合わせて見ることを想定していたとしても、全然おかしくないと思います。

そして絵の温かみには、いかにもピクサー作品らしさを感じます。「ファインディング・ニモ」や「モンスターズ・インク」、それに「レミーのおいしいレストラン」の流れを汲んだハートフルな作品として見るなら、十分満足できるでしょう。世界観にどっぷり浸りたい人には、他の作品の方がいいのでしょうが…

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