【フェルメール】牛乳を注ぐ女@国立新美術館

正確に表記すると<フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展>が、六本木の国立新美術館で開催されています。実は僕は、今年の年始にアムステルダムでこの絵を見ているので、東京での再会となりました。アムステルダム国立美術館では、同じ展示室にフェルメールの作品が3点と、その他の画家の作品も普通にたくさん並んでいる中での展示でした。

今回の展覧会の目玉は「牛乳~」以外にはなく、これ一点ですべての来場者の興味をつならなければなりません。その証拠に展覧会のサイトを見ても、普通はよくある「主な展示」の紹介がないのです。だって、「主な展示」はこのフェルメールの1点だけなのですから…

アムスと違い、「牛乳~」はおごそかに大きな展示室にひとつだけ展示されていました。こうして見ると、アムスでは親しげな友だちに見えたこの作品が、東京ではちょっとお高い貴人に見えてしまうから不思議なものです。ただ、やはり存在感は抜群で、他の作品が暗めなのに対して、この作品は光がたっぷりと描かれています。フェルメールの流れを汲んだような作品も何点か見られましたが、構図の素晴らしさでは遠く及びません。

見どころに乏しい展示の中で学芸員の工夫が光ったのは、フェルメールが作品でよく取り上げる当時の楽器を集めて展示していたことでした。リュートヴィオラ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴァージナルなどの展示には興味を惹かれました。ただ、フェルメールの作品に馴染んでいない人には、唐突な印象を与えてしまうというリスクも同時に持ち合わせてしまいますが。

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