【めがね】不思議な映画空間

銀座のテアトルシネマで「めがね」を鑑賞してきました。知らなかったのですが、今日はサービスデイで入場料が1,000円でした。そのせいか劇場はかなり混んでいて、11時45分の回を見るために5分前に着いたら、売り切れ寸前で焦りました… 女性客がほとんどで、年齢層は若干高めということろでしょうか。

作品は、とにかく全編を通して不思議な雰囲気が流れています。女優3人(小林聡美もたいまさこ市川実日子)はちょっとした間の取り方が絶妙だし、台詞の自然な感じもなかなか真似できない域に達しています。映像もゆったり流れていて、余分な台詞も演出もないけれど、たっぷりとした充実感がそこにはありました。冒頭のシーンで市川実日子が、飛行機の到着に気づいて「来た」と言うのですが、その言い方がすごく自然で印象的でした。

この「めがね」というタイトルには、いろいろな意味があると思います。登場人物が全員めがねをかけていること、この作品を「めがね」のように通して見えてくるものがあることの2点は公式HPからも窺えますが、僕にはもうひとつの意味が感じられました。それは「めがね=自分のものの見方・価値観」だとすれば、本作の中ではサクラ(もたいまさこ)とユージ(光石研)が他人の生き様にまったく干渉せずに自分の生き方を貫いているし、タエコ(小林聡美)も徐々にその境地に近づいて行くのです。様々な生き方を持つ5人の登場人物が浜辺の小屋でかき氷を食べている映像は、まさに本作の根幹だったのではないでしょうか。

この映画に流れる音楽も、ゆったりとしてとても素敵です。エンディングテーマを歌う大貫妙子の声が、またこの作品の趣きに合っていて、いかにもという感じでした。「かもめ食堂」とはまた違った色がありますが、落ち着いた独特の世界観は共通しているように思います。

http://www.megane-movie.com/