【ホテル・ルワンダ】理屈抜きの対立

重いテーマだし、すぐそこに死が迫っている状況が続くのに、僕には現実感を感じられない。それは単に平和ボケした日本人だからなのかもしれません。主人公ポールを演じているドン・チードルの抑えた、それでいてベースラインでは人間味にあふれた演技は出色です。脇を固めるニック・ノルティは、こんな感じに年をとったことが少し意外でしたが、あまり融通の利かない男の役はハマっています。チョイ役で登場するジャン・レノの存在感は、さすがですね。

ホテルの支配人である主人公ポールの危機に瀕した際の行動は、いろいろと考えさせられました。僕は人事総務の仕事をしているので、会社で何か事件が起きれば自分がポールのような役回りをする可能性があります。自分ならどう行動するのか、あんな機転は利くのかと思うと、気が遠くなりそうです。

この作品で欧米や国連軍は救いの手段として、かえってその関与の遅さが暗に批判されています。そう考えると「世界の警察」アメリカ軍は、必要悪なのかもしれません。それ以前に、妄信的な力を目の前にしたときに、理屈は意味を持つのかということも考えてみないといけないのでしょう。僕たちのすぐそばにも、そんな力は存在するのですから…

舞台となった中央アフリカの小国・ルワンダは、かつてドイツやベルギーの支配下にあったので、英語圏の国の植民地だったわけではありません。それなのに、旧宗主国であるベルギーで使用されるフランス語と並んで英語も公用語になっているというところに興味を持ちました。

http://www.hotelrwanda.jp/