【ベルリンの至宝展】ドイツ人の美意識

東京国立博物館で、明日が最終日の「ベルリンの至宝展」を見てきました。あまり予備知識を持たずに行ったんだけど、とにかくすごい人混み。隣の科学博物館で開催中の「恐竜展」ほどではないにしろ、展示には人が群がっていました。今日、僕が一番感じたことは、日本人が美術品を見るときの不思議さ。今やほとんどの展覧会に用意されている音声ガイドだけど、これのせいで決まった展示には一定の時間をかけねばならない義務感を生むらしい。音声ガイドのスイッチをいじりながら、文字で書かれた解説を読む人の数に比べ、実際の作品を観ている人は1/3くらい。それなら、百科事典でも見てるのと一緒なのに・・・

さて、植民地として古代文明の発祥地を押さえていたイギリスやフランスならまだしも、ドイツの博物館に古代エジプトペルシャの産物がこんなにあるという事実が不思議だった。どのような経緯でこれらの美術品がベルリンに集められたか、そのポイントを知りたかったな。

今回の展示の目玉は古代の彫刻のようで、平面の作品は意外に少なかった。それでも神話や宗教を題材にした絵画から、近代のものまであったんだけど、印象派キュビズムのようなものはなく、「目でよく見て書いた」といえるような作品ばかり。これはドイツ人の国民性・美意識なのかな。一瞬の光の織り成す残像よりも、歴史や神話を具象化して頭で理解するような傾向がドイツにあるのだとすれば、最初に書いた日本人の傾向に通じるものがあるのかもしれないね。

僕が一番印象に残ったのは、ルブランの「名声の寓意に扮した王子ヘンリク・ルボミルスキの肖像という作品で、アモル(キューピッド?)とヴィーナスを描いた作品が多い中で、妙に中性的な肌の描写が記憶に残ります。

http://www.asahi.com/berlin/intro/index.html