【エリザベスタウン】喪失と再生の物語

パッケージに書かれた「会社を解雇され、父を亡くした主人公がポジティブな女性に出会い・・・」というあらすじに惹かれてレンタルしてみましたが、僕の持った印象はまったく違いました。これはラブストーリーでも故郷の人間関係を称える話でもなく、「喪失と再生」のストーリーです。自分のビッグアイデアが失敗し、父を亡くして自殺を考えるオーランド・ブルーム演じる主人公。彼は故郷で出会う人たちや、ちょっとおせっかいな客室乗務員クレアによって、「失う」ことによって得られた「新たな何かを得るチャンス」に気づくのです。もっといえば、「失うことなしに、新たなものは得られない」とも言えるでしょう。

でも、この映画は堅苦しいドラマではありません。伊丹十三の「お葬式」に通じる、人の死によって周囲がお互いの位置関係を再確認するようなエピソードを描きながらも、笑わせるポイントや懐かしい音楽を散りばめて娯楽にしたてています。主人公がルイヴィルの空港からエリザベスタウンに向かうハイウェイのシーンでかかったフリートウッド・マックの「Big Love」が、僕にはツボでした。

主人公の母親を演じるスーザン・サランドンは、たまたま昨夜WOWOWで観た「シャル・ウィ・ダンス」でもリチャード・ギアの妻という同じ路線のロールを演じていて、すっかり疲れた中年女がハマる年齢になってしまったようですね。

この作品、僕のイチオシです。ぜひ、観てみてください!