【サッカー】前園真聖が引退

セルビア・モンテネグロのプロチームでトライアウトに失敗したとは聞いていたけど、引退のニュースはちょっと突然だった。Jリーグ元年の93年、彼の初舞台となった国立のヴェルディ戦を僕は観戦していた。PK戦の末フリューゲルスが敗れたこの試合で、彼は途中交代で出場しながら、延長の途中で桂秀樹と交代させられてしまう。そんな苦いスタートを切った彼だったが、その後頭角を表した。アトランタオリンピック代表の主将としてチームを決勝トーナメント寸前まで率いる一方、クラブチームでは「ダービー男」としてマリノス戦での勝負強さを発揮した。

しかし、チームでの彼の評価は微妙だった。スペイン移籍をほのめかしながらV川崎に移籍した彼を揶揄するためにサポーターは等々力をスペインと呼んでいたし、もともと守備をしなかった彼がいなくなった方がよいというような発言をするチームメイトすらいたのだ。代表でも中田ヒデと入れ替わるようにその座を失った彼は、やがて輝きを失っていく。

あまりにも激動のサッカー人生だった前園だが、ポルトガルやブラジル、そして韓国でプレーすることでサッカーへの情熱を示してくれた。引退は残念だが、彼が日本サッカー界に残した「一瞬の」輝きは、決して意味のないものではなかったと信じている。ゾノ、お疲れ様でした!