【映画】マダム・ウェブ

マーベルを冠した作品とはいえ、スパイダーマンのスピンオフなのでソニーの配給という微妙な位置づけだが、本家マーベルが展開している「ダイバーシティインクルージョン」路線を踏襲する設定が目についた。ベン・パーカーが若く、義理の妹のメアリーが出産する場面が描かれるので、スパイダーマンの前日譚として捉えてよさそうだ。ルーツをたどり、性別を転換し、複数の主要キャラクターを作るというあたりが、いかにも昨今のMCUの流れとオーバーラップするのだ。

全体的にプロローグのような展開で、インパクトのあるストーリーというよりは説明的な描写に見えてしまった。今後につなげようという意図はありありと感じられ、その期待もそれなりには持てたものの、どちらかというと「またこの展開か」という既視感の方が強く感じられてしまったのは残念だ。

そんな中で主演のダコタ・ジョンソンが存在感を示したことで、どうにか作品としての体を成した印象がある。彼女が演じるカサンドラ・ウェブは、ベン・パーカーの救命士としての相方。そのベンの妻がメイおばさんのはずなのだが、本作に登場しないことが気になる。今のところピーター・パーカーとの接点がここであることは疑いようもないので、今後の展開でどう絡めるのか期待したい。