【中国】なぜ今デモか

中華人民共和国反日教育は今にはじまったことではないし、昨年のサッカー・アジアカップ重慶で見せた彼の国民の行動からも、その根強さは僕たちも理解していたはずだ。しかし、なぜ今、ここまでの行動を起こす必要があったのだろうか。

竹島問題は日韓の問題だが、尖閣諸島の領有をめぐっては日中間にも争いがある。国連の常任理事国入りに向けた日本の活動も、彼らにはおもしろくないだろう。日本企業が中国に進出して利潤を得ているのも確かだ。しかし、日本の資本で作られ、販売されたとしても、そのほとんどは中国の労働力を使っているはずである。そう考えると、事の本質はどうも違うところにあるような気がしてならない。

ひとつには、台湾問題である。中国は「反国家分裂法」を制定して、世界の表舞台に出ようとしている台湾を強烈に牽制した。このことによって世界から非難を浴びた中国にとって、その矛先を変えるには日本は格好の、そして定番の存在だ。もうひとつ、中国沿海部で激化しているといわれる貧富の格差拡大である。これは共産主義を標榜しながら、香港を梃子にして資本主義を事実上導入している国家体制の批判を、日本という資本の責任にすり替えているのではないだろうか。

中国人に与えられた情報だけで判断してほしくないように、僕たちも同じことを肝に銘じておいた方がよさそうだ。