【米大統領選】民主党大会@CNN

コロラド州デンバーで開催されたアメリカの民主党大会を、CNNのライブで見ていました。日本の政党が開くいわゆる「党大会」とはまったく趣が異なり、ライブ演奏あり派手な仕掛けありと完全なエンタテイメント。まさにアメリカ企業が行う「コンベンション」のようなイベントと同じ手法です(実際、党大会の原語は"National Convention"ですが)。

各州の代表が投票するのではなく、マイクを通して自分たちに配分された票の投票先を申告するシステムで、ニューヨーク州を代表したヒラリー・クリントン上院議員が「投票を止めて、全会一致でオバマ氏を候補に」という動議を提起したのは、いかにもシナリオ通りという感じでした。彼女の演説では当初は他の演説者と同様に"President of the United States"という表現だったのに、終盤ではあえて"Our President"に変えていたあたりはさすがのコミュニケーション・スキルですね。

さてオバマ氏は、共和党のマケイン氏に勝てるのでしょうか。ブッシュのイラク政策を批判していた民主党にとって、ロシアが南オセチアアブハジアの主権を承認し、東西冷戦の再来かという状況にこのタイミングでなってしまったことには頭が痛いでしょう。ヨーロッパを回って外交手腕をアピールしたことが、「セレブ気取り」と反感を買っているという報道もあります。そして、もし僕がアメリカ国民だったとしたら、オバマ氏の夫人、ミシェルさんが民主党大会での演説時に着用していたセーターのセンスのなさといかにも普通の主婦のようなチープな表情に、ファーストレディーとしての適性にノーを突きつけたかもしれません。おそらくそれは、「庶民感覚」を醸し出す戦略だったのでしょうけどね。

話は変わりますが、北京オリンピックの競技会場における中国国民の熱狂的愛国主義の観戦マナーが非難の対象になっていました。中国の「民度」が問われていたわけですが、この民主党大会の盛り上がりを見る限り、アメリカ国民も五十歩百歩です。オバマビル・クリントンが演説をはじめようとしても拍手やコールを止めようとしない党員たちの姿は、明らかにやり過ぎです。それに引っ張られたのか、オバマ氏の演説もやや早口で歯切れの悪いものになってしまい、演説の説得力を低めていたように思います。

ビル・クリントンが「(共和党政権は)あと4年なんてとんでもない。(ブッシュの任期の残りの)4ヶ月がせいぜいだ」という意味で"4 more months"にアクセントを置いて発言すると、すかさず聴衆は"4 more months"を連呼。オバマが「8年続けば、もう共和党政権は十分だ」と言えば、聴衆は"8 is enough"を連呼します。その姿と音声が北京の「加油(ジャーヨウ)!」に重なったことは、言うまでもありません。聴衆を盛り上げる政治家のこういった言葉遣いのうまさには、感服しましたが…