【間宮兄弟】観る側に親切な作品

佐々木蔵之介ドランクドラゴンの塚地が兄弟というちょっとありえなさそうな設定ですが、これが意外とハマっています。それは佐々木があまり前面に出ずに、塚地のキャラをうまく引き立てることができたからでしょう。それにしても塚地の演技は上出来。表情といい、台詞回しといい、今日の夜のドラマで山下清役に抜擢された理由がわかりました。一番の見どころは、何度もいろいろな場面で出てくる佐々木と塚地の寝顔。体を痙攣させる塚地の仕草とともに、素のような感じがよく出ています。

脇役陣もなかなかおもしろく、二人の母親を演じる中島みゆきもテンションの高さが不自然にならず、うまく見せてくれました。佐々木の先輩社員役の岩崎ひろみや兄弟がよく行くレンタルビデオショップの店員(沢尻エリカ)の彼氏役の佐藤隆太も、この程度の出番ではもったいないくらいです。

全般的に兄弟の「いい人っぷり」を多彩に見せてくれますが、展開にもテンポがあって飽きさせません。野球部員の彼氏(佐藤)が投げたボールを沢尻が受けて、こちらは「あれ、あのボールは返すのかな、どうするのかな?」とちょっとした疑問を持つのですが、仲間の部員が返してもらいにくることで何となく奥歯に挟まったものが取れたような気分で次の場面に進んでいくのです。観る側のスタンスをきっちりと押さえて作られているということが、このことからも窺われます。

森田芳光監督のていねいな作品づくりに安心し、役者としての塚地武雅にはこれからも注目していきたいと思う、そんな作品でした。

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