【映画】ビル・カニンガム&ニューヨーク

新宿バルト9で上映中の「ビル・カニンガム&ニューヨーク」は、ニューヨークタイムスでファッション写真を担当する80歳の老カメラマンのスタイルを描くドキュメンタリー。ビル自身は安い作業着を修理しつつ着ているような人物なのですが、ニューヨークの街角でこだわり抜いたスナップショットを撮り、夜はパーティをめぐって一番旬なファッションリーダーの肖像を切り取ってゆきます。

ニューヨークやパリを舞台とした映像は見応えがありますが、インタビューのシーンはやや冗長なイメージ。86分と短めのフィルムですが、緊張感を持って仕上げるためにはもっと編集で削ってもよかったと思います。バックグラウンドに音楽のない時間帯が長い点も、全体のコンセプトをぼやけさせてしまっています。

この映画で一番印象に残ったのは、ビルが「ファッションは日々を生き延びるための鎧。ファッションを捨てるのは、つまり文明を捨てることだ」と語る部分。ファッションは生活必需品ではないものの、それなしで現代社会を生き抜けるようには感じられません。そういうものが増殖してしまったことが現代の特徴であり、だからこそ時間の流れが濃密になったのでしょうね。

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