【女子ワールドカップ】スコットランド―日本

女子サッカーのワールドカップ・フランス大会は、初戦でアルゼンチンと引き分けたなでしこJAPANに対するメディアの報道が「崖っぷち」というような見出しで、非常に違和感が大きかった。このような重要な大会のグループリーグ初戦で最重要なポイントは「負けないこと」。確かにアルゼンチン戦はドローを狙ったわけではなさそうだが、それにしても崖っぷちではなかった。日本のメディアの悪癖だが、そのスポーツの本質やその大会の位置づけも理解せず、煽るだけの中身のない記事になりがちだ。

そして迎えたスコットランド戦では、序盤こそ中盤が開きすぎてつなぐだけで精一杯だったが、前半の途中からリズムがよくなった。そんな状況で、岩渕が相手DFをブラインドにするようなミドルシュートクロスバーすれすれに決め、優位な展開に。菅澤も落ち着いてPKを決め、一気に流れを引き寄せた。

この試合のなでしこの良さは、パスを出す際に隣の選手ではなく、その先の「ひとり飛ばす」ところまでしっかりと見えていたところ。フランスサッカーを思わせるような中距離のパスが面白いようにつながり、スコットランドの守備を攪乱した。鮫島と清水の両サイドバックの運動量も十分で、真ん中では市瀬が効いていた。失点の場面で集中が切れていた点は反省材料だが、その後の時間の使い方には余裕が見られた。これでメディアの論調も変わるだろうか。