【三菱一号館美術館】ラファエル前派の軌跡展

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三菱一号館美術館のラファエル前派展。ラファエル前派の作品は静止画ではあるけれど、感情やバックグラウンドを描くことで、単なるスナップショットに止まらない凝縮されたストーリーを提示します。ただ、ロセッティの作品は顔のパーツなどのバランスが悪く、中空を睨む視線が鋭すぎるために、残念ながら僕の心にはなかなか響きませんでした。

彼らが否定した「ラファエロ・サンティで確立された様式」に見られる無表情なスナップショットより、見ていて想像力を働かせる余地があり、そこが魅力なのでしょう。同じ「三美神」を描いても、その表情や艶めかしさは段違いなのです。冒頭に展示されているターナーは、本来ラファエル前派ではありませんが、本展のテーマである批評家であり素描家のラスキンがつなぎとめている形になっています。かつて、ロンドンのテートギャラリーではターナーを見過ぎて食傷気味になってしまいましたが、この展覧会のターナーはバラエティに富んでいるので飽きずに楽しめます。

森美術館ほどではないものの、こちらのチケット発券オペレーションも大いに課題があることは難点。不動産系美術館の弱みというところでしょうか。