【コミック】さよなら私のクラマー(8)

さよなら私のクラマー」は、さすがに8巻目に入ってだいぶキャラが立ち、作者の描き分けもうまくなってきたような気がする。先を予感させるようなボールの軌跡や選手のポジショニングの描写は相変わらず素晴らしく、ページを手繰るのがもどかしいことすらあるほどだ。妙にマニアックなワーディングも多用しているが、サッカーそのものに対する理解が深いことは大歓迎だ。

そして、この作品の魅力のひとつに、主人公のチームと対戦する「敵」のドラマもしっかりと緻密に描き出されることがある。努力しているのは自分たちだけではないし、負けたくない気持ちが常に主人公の方に分があるわけでもない。そんな機微が、不公平にならずに表現されていることで、勝負に対する感情移入がよりおもしろくなる。

インターリーグも、いよいよ決勝を迎える。サッカーシーズンもいよいよ開幕を迎えるので、次巻に向けて一層期待も高まるところだ。マネージャーから選手に起用された越前佐和のプレーも見逃せない。