【NittoATPファイナルズ】錦織―フェデラー

パリマスターズでフェデラーに完敗した錦織だったが、ロンドンでの初戦は臆せず攻めた。ファーストサーブは52%と決して良くなかったのだが、セカンドサーブでのポインツウォンが62%でフェデラーを8ポイントも上回っていた。アンダープレッシャーの状況ではランキング1位である錦織の面目躍如というところだろうか。

この試合の勝負を分けたのは、しかしフェデラーの出来だった。錦織も良くなかったが、フェデラーはそれ以上に良くなかった。いつもなら決まるショットが少しずつずれて、フェデラー自身の気持ちを蝕んでいった。ウィーンで敗れたケビン・アンダーソンをパリで破ったように、錦織はまたしても直前の大会のリベンジを遂げることに成功したのだ。

圧巻は、ファーストセットの第12ゲームで見せた錦織のシングルのバックハンド。苦し紛れのショットがたまたま入ったようにも見えたが、結果的にはここから錦織がタイブレークへの流れをつかんだのではないか。そして、セカンドセットでいきなりブレークに成功したフェデラーに対して錦織がすかさずブレークバックしたことで、精神的には錦織が優位に立ったということだ。