【国立新美術館】ボナール展

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国立新美術館ピエール・ボナール展へ。ボナールが描こうとしたのは、キャンバスという限りのある平面に区切られた構図。だから、顔のパーツや表情には重きが置かれないのでしょう。もしかしたらその背後には、細かいデッサンを避けたいという思いもあったのかもしれません。彼の描く人物の顔は不明瞭で、メッセージはそこからは伝わってこないように感じます。

ナビ派を導いたとされるゴーギャンの「赤みがかって見える木は真赤な色で表現せよ」という言葉は、目に映るものそのままではなく、その本質を見極めようとする作業に意味を移したのでしょう。その行き着いた先が、日本の屏風絵だったのではないかと思います。目に見える全体からフォーカスを絞り、描きたいテーマに力点を置く。そして、それ以外のものは大胆に省略してしまう。ボナールの作品は模倣にも見えますが、スタイルの本質はしっかり踏襲されているように感じました。