第72回トニー賞は、MCのジョシュ・グローバンとサラ・バレリアスがとにかく歌いまくり、一番目立っていた印象だった。ミュージカル部門で作品賞と主演男優、女優賞を独占した「バンズヴィジット」は確かに面白そうだが、インパクトという意味では「スポンジボブ・スクエアパンツ」だろう。2本の足の後方にもう2本の足(の作り物)を固定して、あたかも4本あるかのような動きを見せる衣装と演出、演技の総合力を感じた。
スピーチも自由で印象に残るものが多く、ロバート・デ・ニーロはトランプ大統領をこきおろし、涙ぐみながら感動と「夫」への愛を表明したネイサン・レインや同じく同性の恋人の誕生日を歌で祝ったジョン・ティファニーもショーのような存在感だった。受賞者のスピーチがみんな早口だったので、WOWOWの同時通訳は苦労したことだろう。
期待していたブルース・スプリングスティーンのステージは「語り」のような形になってしまったのが残念で、「アナと雪の女王」もプロジェクションマッピングがウリのようなのでブロードウェイで見てみたいものだと思う。それでも、ブロードウェイやウェストエンドの現況が概観できたので、ぜひニューヨークやロンドンで観劇したい気持ちが高まった。