【ピョンチャン2018】フィギュア羽生連覇

ショートプログラムで圧倒的な演技を見せた羽生結弦トリプルアクセルも完璧だったが、最初の4回転サルコウの安定感で復調を示したと言えるだろう。しかし、彼は過去にもショートを完璧にこなしながらフリーで失敗した実績だある。それだけに今日のフリーには不安もあったはずだ。

フリーは、団体に続いてショートでも再び大崩れしたネイサン・チェンが驚異的な演技で見せ場を作る。ネイサンのあの構成を決められては、現時点で敵う選手は皆無だろう。4回転時代の到来でパトリック・チャンアダム・リッポンがメダル争いに絡めなくなったのだが、この流れは採点方法の見直しで変わる可能性がある。今のままでは、ネイサンとビンセント・ジョウ、ボーヤン・ジンらの「豪快な」スケートしか評価されなくなる。ついでに言えば、後半の1.1倍を狙ってジャンプをまとめるザギトワのような戦術も作品全体の美しさを減じており、個人的には好きではない。

ボーヤンが思ったほど伸びず、羽生が完璧ではないものの200点オーバーの演技を見せて勝負は決した。ただ、2位争いは混沌としていた。ハビエル・フェルナンデスサルコウが抜けてダブルになり、宇野は転倒しながらも4回転は回り切った。テレビで見ていると転倒のインパクトが大きいが、ダウングレードの方が傷は深いのだ。宇野の得点が出たとき、宇野が状況を把握するまでに一瞬時間があり、樋口コーチの表情が先に崩れた。このあたりが、いかにも宇野昌磨らしかった