【ゴールデングローブ賞】政治と同調と

今年のゴールデングローブ賞は、純粋に賞の行方以外のところに目が行ってしまう作りだったことが気になった。例えば、ブラックのドレスコード。いわゆるセクハラ問題への抗議ということだったが、まるで日本文化を評する際に使われる「同調圧力」のような雰囲気すらあった。中には赤を着た女性プロデューサーもいたので、そのあたりはアメリカ的だったのだが…

そして、功労者としてセシル・B・デミル賞を黒人女性として初受賞したオプラ・ウィンフリーのスピーチは、出席者の共感を呼んでいた。しかし、そんな彼女が次期大統領選に出馬するという話になると、一気に萎えてしまう。差別問題への対処としてのムーブメントの裏に政治が見え隠れするのは、どうも好きになれないのだ。

本筋の受賞レースでは「スリー・ビルボード」が強かったが、「シェイプ・オブ・ウォーター」の独特な世界観や「レディ・バード」のシアーシャ・ローナンが気になった。そして1話だけ見たことのある「マーベラス・ミセス・メイゼル」と主演のレイチェル・ブロズナハンが受賞したが、スピーチの際に雰囲気がだいぶ役柄と違っていたのが興味深かった。