
「北斎とジャポニズム」は、特に前半に博物学的な見せ方をしていて、個人的にはあまり好きではありません。そしてそこに提示されている視点には、やや決め付けに思えるようなものもありましたが、浮世絵が通俗的な対象を取り上げていることが印象派などの画家につながっている様子は伝わってきます。
終盤では波の描き方を「神奈川沖浪裏」などとの比較で見せていましたが、クールベの描く波から僕が感じたのは、クラーク・リトルが写し取るハワイの波の表情でした。波の表面の鏡のような滑らかさや連続性が、まるで写真や映像で記録したかのような写実性だったのです。