【東京ステーションギャラリー】シャガール展

東京ステーションギャラリーで開幕したシャガール展は、「三次元の世界」というサブタイトルの通り、立体に着目した構成です。シャガールと言えばファンタジーを思わせる絵画を思い起こしますが、版画や彫刻も多く制作しているようです。ただ、ニューヨークのMoMAに所蔵されている名作「誕生日」の自身による模写なども出展されていて、平面の作品も十分に楽しめます。

この展覧会を通じて、彼にとって重要だったのはテーマもしくはモチーフであって、アプローチやメディアではなかったのだと感じます。リサ・ラーソンが造形にこだわっていることとは対極の捉え方ですが「表現したいものをいかに具現化するか」、もっと言えば「自らの思いを、いかに自分の周りに置くか」を目指したように思うのです。平面と立体で同じモチーフを扱っていることから、僕の中ではこのような印象になりました。

そして、シャガールの作品から伝わってくるのは孤独、そしてそれを埋めてくれるものへの渇望です。恋人たちの姿を借りた愛、あるいは宗教。シャガールの切ない想いが作品に、そして展覧会の空間ににじんでいました。