【藝大美術館】雪村展

イメージ 1

上野公園の東京藝術大学大学美術館(「大学」がダブるのは、誤植ではないですよ)で開催されている「雪村 ―奇想の誕生―」展を鑑賞しました。戦国時代の画僧である雪村周継(せっそんしゅうけい)の描くテーマは、デフォルメされた動物や中国の古典に出てきそうな風景ですが、これらの根底にあるコンセプトは「非日常」なのだと思いました。

これまで僕は、一般的に水墨画の作品に中国古代の風景が取り上げられることを、マスターピースに対する敬意と模倣だと感じていました。しかし、今回の展覧会を見て、それは同時に非日常なファンタスティックな世界なのだと確信したのです。中国を扱った作品は、時代物であり海外物だったのでしょう。日常を離れたところにある世界観に思いを馳せるのは今も昔も一緒なのですね。

雪村の描く線は直線的に尖ったものが多いという印象でしたが、意外にも曲線を駆使した温かみのある作品も多く見られました。このあたりが、彼の持つ人間味なのかもしれません。非常に多彩なアプローチがあるからこそ、ファンタジーを描くことができたのでしょう。