【東京都美術館】ティツィアーノとヴェネツィア派展

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上野公園の東京都美術館で開催されている「ティツィアーノヴェネツィア派展」は、終盤のティツィアーノ、ティントレット、そしてヴェロネーゼの作品を際立たせるための序章が長く続きます。いかにもイタリア絵画らしい肖像画と宗教画なのですが、ティツィアーノらの作品とは明らかに出来栄えが異なります。

序盤に並ぶ作品は、目に映ったものをキャンバスに貼り付けたような出来で、パーツごとのバランスが悪かったり、表情が張り付いたようなものだったり。一方、ティツィアーノが描く女性の体の質感と量感には画家としての意思が感じられ、対象への興味と愛情すら感じさせるのです。表情も瞬間のスナップショットではなく、ストーリーというかコンテキストを感じます。

ティントレットやヴェロネーゼも同様ですが、よい作品は単なる描写ではなく、画家が解釈して再構成した世界であって、それらが持つパワーが魅力なのだと思いました。