【東京都美術館】バルテュス展

画家バルテュスは、本名をバルタザール・クロソフスキー・ド・ローラと言い、ピカソに絶賛された才能の持ち主。上野公園の東京都美術館で開催されているバルテュス展は、ゴールデンウィークの観光客で無法地帯でした。係員が座る椅子に疲れた老人が座っていたり、まったく興味のなさそうな団体が絵を占拠していたり…

それでも作品は、予想以上に素晴らしいものでした。バルテュスが描く猫は日常の中の幸福。そして少女な裸はエロチックではなく、それ以上でも以下でもない対象そのもの、あるいは秘めた可能性への敬意を感じます。フランス印象派のような上品なテイストではなく、フランドルの通俗画のような庶民的な対象を、リリカルに捉えていました。特に、「鏡の中のアリス」や「夢見るテレーズ」は、バルテュスらしさを堪能できます。

彼は同時に、中国や日本など東洋的なものに惹かれていたようです。作品にも取り入れているのですが、この東洋趣味は外していますね。いかにも表面的で、素人臭い模倣の域を出ていません。また、アトリエを再現しているコーナーもありました。この手の手法は最近よく見かけるのですが、キュレーターの自己満足のようにも感じてしまいます。

http://balthus2014.jp/