【三菱一号館美術館】ザ・ビューティフル

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丸の内の三菱一号館美術館で開催されている、英国の唯美主義作品を集めた「ザ・ビューティフル」を鑑賞しました。唯美(ゆいび)主義は耽美主義とも呼ばれますが、僕にとって「耽美」という単語で思い浮かべるのは、世紀末ウィーンで活躍した二人のグスタフ。つまり、音楽家グスタフ・マーラーと画家のグスタフ・クリムトなのです。彼らの作品は、せつなくなるようなカタストロフを含んだ甘い叙情。それに比べるとこの展覧会の展示は、おとなしい印象でした。

全体を通して流れている世界観は、動きを呪いで封じ込められたような静寂と平穏。ターナーやゲインズバラにも繋がる、英国文化に独特なバックグラウンドを感じます。画家が対象の中に見出した美しさを淡々と描いている印象で、迸るような感情がそこには見られないのです。その部分は。鑑賞者に委ねられているということなのでしょうか。

好き嫌いで言えば、僕は決して好きな部類の作品ではないのですが、その中でもホイッスラーの作品やムーアの「真夏」は素晴らしかった。ホイッスラーのエッチングは、水墨画のようにシンプルなアプローチ。「真夏」は鮮やかなオレンジを効果的に使い、テキスタイルの質感が表現されていて圧倒的な存在感でした。

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