【映画】アルゴ

最近は飛行機の機内で新作映画をまとめて見てしまうことが多く、あまりレンタルは利用していませんでしたが、アカデミー賞授賞式で興味を持っていた「アルゴ」を借りてみました。イランのアメリカ大使館人質事件に関する作品というくらいしか事前情報がなかったのですが、最初から最後までずっと緊張感をキープしたまま120分があっという間に過ぎてゆきました。

作品中では詳しく語られませんが、「アルゴ」とはギリシャ神話で冒険者を乗せた船の名前。大使館員を国外に退去させるために仕立てられた架空の映画「アルゴ」は、まさに彼らを護送する船だったのでしょう。実話をベースにしていると言いつつも、どう考えても最後の空港のシーンはフィクションでしょうね。イランにしてみれば、「悪」を押し付けられたように見えるのでしょうが、ハリウッド映画が冷戦時代にソ連を描いていたやり方に比べれば、かなりマイルドだったと思います。

監督兼主演のベン・アフレックが見せる抑えた演技も素晴らしいのですが、巧みに織り交ぜられるテヘランの様子やイラン市民の表情が多くを語っており、その編集の素晴らしさを感じます。まさに、無駄がない印象ですね。「ホミサイド」でダンバース判事を演じたジェリコ・イヴァネク、「LOST」や「グッドワイフ」でおなじみのタイタス・ウェリヴァーら渋い脇役も、存在感を示していました。重いテーマではありますが、エンタテイメントとしての要素も十分に持ち合わせた佳作です。

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