【三菱一号館美術館】シャルダン展

丸の内の三菱一号館美術館で「シャルダン展―静寂の巨匠」を観賞しました。シャルダンという画家のことはほとんど知らなかったのですが、静物画やフランドル風の風俗画を遺したフランスの画家で、印象派に影響を与えているとも言われています。

彼の画風は、「見えるものを見えたまま描いた」印象。そこに何も足したり引いたりしておらず、静物画の対象にセザンヌのような縁取りを入れることはないのです。だからフェルメールのような構図で風俗を描いても、そこにバックグラウンドは見えないし、僕はインスパイアされません。一方静物の捉え方は独特で、狩猟の獲物の毛皮を質感豊かに描き、獣肉への偏愛も窺わせるのです。

この展覧会では、似た構図の「対作品」を並べて展示したり、その観点から解説を加えています。アートを学問として捉えるのは好きではないけれど、こういう見せ方は参考になります。扉が多く、靴音が響くという致命的な欠陥を持った美術館ですが、キュレーターの工夫は感じさせてくれますね。

http://mimt.jp/chardin/?