【レーピン展】これぞキュレーション

渋谷のBunkamuraミュージアムで、今日開幕した「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」。イリヤ・レーピンという画家にはなじみがなかったのですが、高校時代の同級生が企画に関わっているということで、初日に訪れてみました。

20世紀初頭のロシアはトルストイドストエフスキーチャイコフスキームソルグスキーといった才能を輩出した時代。写実主義の画家イリヤ・レーピンは、「移動派」として社会の問題や革命を取り上げた作品を遺しています。今回の展示では、「参考」として習作と完成版を対比できるようになっているところがポイントです。同じモチーフでありながら、辛い労働に目を向けるか、それぞれの人物のフォーカスを当てるかによって、構図も作品の印象もまったく異なってくるのです。また描き直すことによって作品の味がまったく変わってしまう様子も、体感できます。

レーピンが描く絵画は、レンブラントの影響を強く感じさせます。暗い背景や顔の凹凸を強調した彩色などが、まさにレンブラント作品のようでした。フランドルの風俗画のようなアプローチの作品も多いのですが、モネを思わせるような印象派的なものもあります。また、テーマとして死や決闘、革命などの生々しいシーンを扱っているところも、独特の世界観となっています。

それほど混雑していないし、キュレーターの意図を感じながらゆったりと鑑賞できる、貴重な展覧会です。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_repin/index.html