【ロンドンオリンピック】サッカー報道の真否

試合経過や結果についてはすでに語りつくされているので、ここではマスコミの報道を中心にコメントしたい。このスペイン戦の勝利を「グラスゴーの奇跡」と呼ぶことは想定内だ。しかし夕刊フジのように、「決勝トーナメントに進めなかったマイアミの奇跡と重なる」という論調がなぜ出てくるのか、僕には理解できない。

ウェブで「まともな」ジャーナリストが論じているように、日本-スペイン戦はアトランタオリンピックのブラジル戦とは異なり、防戦一方の戦術ではなかった。「高い位置からプレスをかけてボールを奪い反転速攻を仕掛ける」という戦術は、決して弱者の戦術ではない。スペインが退場で10人になってしまったとはいえ、決定的なチャンスの量も質も日本が上回っていた。そして、ブラジル、ナイジェリア、日本が勝ち点6で並んだアトランタと違い、モロッコホンジュラスが引き分けているので、もうひとつ勝てば決勝トーナメント進出が決まるという状況だ。どこに「マイアミと重なる」要素があるのだろうか。

内容についても、一言だけ記しておこう。スペイン戦のような展開のゲームで一番注意すべきは、主審がスペインの数的不利をチャラにしようとする心理だ。その意味で、齋藤のチェイシングは危険だった。途中出場ながら、すぐにイエローカードをもらってしまったことで、交代の判断は難しくなったことだろう。三人目の交代は、途中出場の齋藤をあえて杉本あたりに代える選択でもよかったと思っている。