【第三舞台解散公演】深呼吸する惑星

<ネタバレあります>
10年間の沈黙を破ってのステージが「解散公演」となった第三舞台。うかつにも情報をまったく知らなかったので、すでに東京公演は終了していました。しかし、千秋楽の福岡公演最終日を全国の映画館でライブビューイングしてくれることを、友人のfacebookのウォールで知りました。すでに六本木と渋谷はソールドアウト。なんとか板橋のチケットを確保することができて一安心です。

ワーナーマイカルシネマ板橋の13:00の回は満席ではなく、前方席はかなり空いていました。入場時には劇場のように鴻上尚史の手書きメッセージが配られます。中継が始まり、いきなり鴻上が画面に無言で登場し、カンペのような紙をめくりながら「もうちょっと待ってください」などとメッセージを見せます。「第三舞台の公演であの曲がないのは寂しいな」と思っているとRoxy Musicの「More Than This」が流れ、期待が一気に高まりました。

筧利夫をセンターに、長野里美大高洋夫らが並んでのオープニング。勝村政信京晋佑西牟田恵あたりがいないのは残念ですが、それでも十分な存在感です。手書きレターには「死」と「死者との対話」というテーマで語られており、冒頭のシーンは葬儀の終わりに参列者が会話しているところ。死者が残したブログは残るのか、本人はどれをどう感じているのかという疑問が投げかけられます。

そしてストーリーは鴻上らしいSFテイストに。地球の支配下にある惑星は、なんとなく日本と沖縄の関係を思わせますね。鴻上作品らしく、メインのテーマの他にもたくさんのテーゼが観客に提示され、それらに明確な答えのないまま大団円を迎えます。最終的に僕が受け取ったメッセージは、「おまえが戦っている相手は実体か? 実は幻想なんじゃないか?」というもの。日々苦しんで生活して、場合によってはメンタルを病んだり自らの命を絶ってしまったり。でも、その「悩みの種」って、もしかしたら幻想なんじゃないか。最後の最後に、素晴らしい「遺言」を遺して第三舞台は解散を迎えました。

長野里美が定番の着ぐるみダンスを見せてくれたのは、ファンサービスなのでしょうね。あのコミカルテイストのバランスは、このメンバーならではだと思います。WOWOWで録画放送とドキュメンタリー放送があるので、こちらも楽しみです。

http://www.daisanbutai.com/