【埼玉県立歴史と民俗の博物館】円空こころを刻む

大宮公園埼玉県立歴史と民俗の博物館で11/27まで開催されている「円空こころを刻む」を鑑賞しました。個人蔵や事前連絡をして見せていただくような管理体制の作品が多い円空の仏像が、これだけ集まっているのはありがたい限りです。円空岐阜県の出身ですが、彼の作品は愛知、岐阜に次いで埼玉に多く残っているそうです。

円空仏の特徴は、素朴でデフォルメされたシンプルな表情。怒りの表情は何となくほのぼのしており、笑顔は心が温かくなるような癒しを与えてくれます。円空はきっと、ひとつの作品に長い時間集中したくない、飽きっぽい人だったのだろうと感じます。彼のアプローチは、ディテールにこだわらず、自分のスタイルに持ち込む美学なのだと思うのです。装束の模様に雲紋を使うのもシンプルな表情も、その傾向を表しているように感じました。

彼の活躍は江戸時代の初期。日本のサブカルチャーには、伝統的にデフォルメを受け入れる文化があったのでしょうね。神仏という偶像を描くのに、ここまでデフォルメされた様式に持ち込んで問題視されなかったのは、ある意味不思議ですらあります。浮世絵や錦絵から鏑木清方につながる日本画にも、現在のイラストにもその傾向は脈々と受け継がれています。

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