【湊かなえ】花の鎖

「告白」の映画公開で一気にブレイクした感のある湊かなえの新刊は、自ら「セカンドステージ」と称するように、一段上の高みを目指しているようです。「花の鎖」は、これまでの作品同様に複数のプロットが収斂していく展開ですが、これまでの「ひとつの事実が、見るものによって違う記憶として捉えられる」という流れとは異なり、さらにひとつ次元を加えたものとなっています。

それぞれの章は、さらに3つのパートに分かれていて、それぞれに主人公として梨花、美雪、紗月という女性たちが登場します。設定がキャラ立ちしていないせいか、人物構成が複雑すぎるせいか、その人物が誰と絡むのか遡って確認しないとわからなくなるのは難点です。しかし、それは作者の狙いなのです…


<以下、ネタバレかも>
展開は意表をついているということもなく、第1章ですでに結末は読めてしまいます。同じ和菓子屋が登場して、いかにも同時代のような書き方なのですが、意図を感じさせるような会話の古臭さや趣味の設定で、この女性たちの関係が想像できてしまうのです。この手法は何度も使えないだろうし、今後も「複数プロット」で押すには拡張性が感じられないですね。湊かなえが本当にセカンドステージに進めるかどうかは、次の作品にかかっているのではないでしょうか。

http://bunshun.jp/pick-up/hananokusari/