【メディア】ネットは新聞を超えたか?

エジプトのムバラク大統領が辞任したが、そこに至るまでにフェイスブックツイッターなどネットを利用したメディアが力を発揮したと言われている。確かにこれらのサービスは、個人レベルがダイレクトに情報や思想を共有することを可能にしている。新聞やテレビが政府やスポンサーの「検閲」を実質的に受けているとすれば、やはりネットの持つ力は底知れない。

しかし、一方で新宿大量殺人予告事件のように、何の実効力も持たない中学生が世間を騒がせ、惑わせることもまた可能なのだ。ツイッターでは、【拡散希望】【RT希望】という書き込みが連日TL(タイムライン)を賑わせている。要は「この情報を右から左に回してくれ」というバケツリレーの依頼である。実に多くの人が、その情報の信憑性にまったく配慮しないまま、この要請に応えている現状があるのだ。

そのような要望に応じる形でなくとも、今回の殺人予告のように次々とRT(リツイート)され、情報が伝播してゆく。そのように世間が騒いでいる様子を見たいから、「犯人」が犯罪行為に及んでいる。その事実にも関わらずだ。

また、「ペットショップが倒産したので、子猫を引き取って」「~で○○を拾いました」。そんな情報までが、あたかも事実であるかのような顔をして広がってゆく。僕にとては、これはとても気持ちが悪い。ペットショップが倒産したなら、商品であるペットは債権者の権利なのではないのか? 落とし主が現れたとして、どう本人だと証明するのか? 情報を横流しすることで犯罪に加担ししまうかもしれない。殺人予告の中学生のような愉快犯を増やしてしまうかもしれない。テレビの報道姿勢を批判する人までが、いとも簡単にソースのわからない情報を信用する。その危険性に気づいていないことが怖いのだ。