【中川昭一財務相】マスコミの狡猾さ

中川昭一財務・金融担当相がG7終了後の記者会見において「酩酊」状態で醜態を晒したとして、結果的には辞任を決意した模様です。麻生内閣が現在置かれた状況を考えれば、この問題で国会を空転させ、さらに内閣支持率を低下させてしまうリスクを避けるのは当然の判断といえるでしょう。

しかし、僕が決定的に不満なのは、本件が発生した当初の日本のマスコミが取った報道スタンスです。問題になったG7の記者会見の直後、日本のマスコミは中川大臣の受け答えが「不自然だった」あるいは「噛み合わなかった」という表現に留め、その扱いも極めて小さなものでした。

記者会見の映像を見て、僕がまず思い起こしたのは故小渕恵三氏が首相在任中の記者会見で回答に詰まり、虚ろな表情をしていたこと。ご承知の通り、氏はその直後に脳梗塞で倒れ、永眠するに至ったのです。中川大臣の記者会見での表情や受け答えは、まさに小渕氏のそれとも言えるものでした。日本のマスコミは、中川大臣が病気によってあのような会見になってしまったとすると、いくら飲酒癖があるとはいえ一方的に責められないと判断したのでしょう。

結果的に、野党が中川大臣の言動を非難し、海外のマスコミが先行して問題視する論調になったことを受けて、日本のマスコミもシフトチェンジします。要は自分たちが非難しているのではなく、海外マスコミや野党が非難している事実を報道しているということなのでしょう。リスクを負わない中途半端な報道では、彼らの存在価値などないことに気づいていないのでしょうね。