【ラブソングができるまで】いかにもヒュー・グラント

懐かしの元スターに扮したヒュー・グラントが、過去の栄光にすがりつきながら生きるミュージシャンを演じる様子はハマりすぎでした。若かりし頃のビデオクリップに登場するシーンも、いかにもありそうな作りだし、試作する曲が当たり障りのない路線というところも真実味を感じます。そして相手役のドリュー・バリモアも、華やかなオーラに欠けるだけにかえってこの役にはなじんでいましたね。ヒューとドリューの良さを、十分に引き出した作品でした。

ヘイリー・ベネット演じる歌姫「コーラ」が、インド音楽に傾倒した仏教徒でありながらダライ・ラマを動物のラマだと思っていたことになっている点は、いかにもありそうです。派手な仕掛けで笑わせるコメディとは異なり、設定やバックグラウンド、話のコンテクストで楽しませる本格派のコメディです。余談ながら、この点を日本のドラマが履き違えているために、アメリカや韓国のドラマに人気を奪われているような気がしてなりません。

この手のコメディドラマは、英会話の教材としても使えます。会話の音量や速さ、使うボキャブラリーなどがちょうどいいですからね。この作品を見ながら、「discrepancy(見解などの相違)という単語はこう使うのか!」と思ったり、「音痴」の英訳が"tone deaf"であることを知ったりと勉強になりました。

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