【ドラマ】シークレット・シティ シーズン1

首都キャンベラを舞台に政治の世界を描くオーストラリアのドラマ。主演のアナ・トーヴは「フリンジ」でも主人公オリヴィア・ダナム捜査官を演じているだけに、オーストラリア製作とはいえ、それなりに期待して見た。彼女が演じるハリエット・ダンクリーは新聞記者だが、正義感に燃えてではなく、自らの名声のためにしつこい取材を続けている印象。そのために、自身はともかく周囲まで巻き込んでも悪びれていないあたりは、なかなか感情移入しにくいキャラクターだ。まあ、それを人間味と考えれば、いかにもナチュラルな行動だとも言える。

特徴的なのは、トランスセクシュアルとして描かれるキム・ゴードンを演じるデイモン・ヘリマンの演技と設定。ハリエットの元夫にして、その後に女性として再婚したという設定は日本人の感覚では突拍子もない印象だが、さらには豊胸手術を受けた裸体まで晒すことで、LGBTを特別扱いしないスタンスもドラマとしては斬新だ。面白おかしくではなく、シリアスなメッセージとして伝えようとしているところに製作者の強い意志が感じられた。

オーストラリアといえばシドニーメルボルン、それにケアンズブリスベーン、パースあたりはイメージが湧くが、キャンベラとなるとまったくの未知数。それでも、映像に映し出される緑豊かな都市の風景には、「訪れてみたい」という以上に「暮らしてみたい」と思わせるものがあった。すぐに飽きてしまうかもしれないとはいえ、都会と自然の両方が楽しめそうな都市で、強烈に記憶に刻まれた。