【映画】アントマン&ワスプ:クアントマニア

MCUのフェーズ4は、マルチバースに安易に手を出して迷走した感覚が強かったが、フェーズ5の初回となる「Ant-Man and the Wasp: Quantumania」はいい感じに方向性が修正されていた。もともと量子世界を扱っていただけに、マルチバースとの相性は悪くない。同様にうまくまとめられる可能性は十分あったドクター・ストレンジが見事にすべっていただけに不安もあったが、シュレーディンガーの猫を応用した展開やアリの進化した世界なども含めた展開の巧さに、今後への期待が高まった。

主演はもちろんアントマンでありワスプであるはずだが、名優の存在を忘れるわけにはいかない。マイケル・ダグラスミシェル・ファイファーという大御所ふたりが見事な演技で主演さながらの存在感を示し、さらには「ゴーストバスターズ」でおなじみのビル・マーレイも円熟の演技で締める。イエロージャケット改めM.O.D.O.K.として再登場したコリー・ストールも、よくこんな役を受けたものだと思わせるような突き抜けた設定をしっかりとこなしていた。これだけ周りを固められれば、ポール・ラッドエヴァンジェリン・リリーも気負わずに仕事ができたことだろう。

この後のMCU作品は「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」だが、世界観としてはつながりそうな気がする。ただ、それ以上にスターウォーズのスピンオフを見ているかのような印象が強く、将来的医には融合もありえそうな気すらした。エンドクレジットにはロキが時代劇の学芸会のような形で登場していたので、複数存在しているロキの時間軸ともどこかで交錯するのだろう。