【MUTUAマドリードOP】西岡良仁―モルチャン

マドリードの初戦、ファーストセットはイーブンで競り合いながら、5-6からのサービスゲームを落としてセットダウンとなった西岡良仁。ところが、セカンドセットは流れをつかみ、一気に5ゲームを連取する。モルチャンにミスが目立っていたのだが、5-0で迎えた第6ゲームで3本のゲームポイントがありながら「一気に取る」意識を見せずに余裕が感じられてしまった。ここで5連続ポイントを挙げたモルチャンに取られると、そのまま4ゲームを連取されてしまう。

ここで集中が戻ったのか、何とか次のサービスゲームをキープしてセットオールとすると、ファイナルセットも競り合う展開となった。西岡の持ち味である「ラリーで多彩な球種を打ち分け、相手のミスを誘う」プレーが随所に見られ、その結果として大事なポイントでミスをするモルチャンのフラストレーションは溜まっていった。しかし、西岡も足に来てしまい、ファイナルセット中盤からは何度もふくらはぎを伸ばすような仕草が見られた。足が攣ったのだと思われるが、それを隠そうともせずゲーム間に繰り返し対処するところは、いかにも日本人だ。

第7ゲームのブレークも、西岡がモルチャンにミスをさせた結果なので、西岡にしてみれば自分らしく勝てたということではないか。ただ、初戦ですでにクレーコートの洗礼を受けてしまったとすると、次のルブレフな難敵だけに非常に厳しくなるだろう。ショートポイントを重ねられる選手ではない西岡にとって、体力という自分との闘いに勝つことも重要なのだ。

※スラブ系の「č」は「カ」より「チャ」という発音が妥当だと思われるため、「モルカン」ではなく「モルチャン」と表記しました