【箱根駅伝】駒大3冠達成

学連選抜として出走した育英大の新田颯が快走して始まった今年の箱根駅伝は、波乱を含みながらも最後は駒澤大学が出雲、全日本に続いて3冠を達成した。青山学院大学が当日変更した5区と6区で順位を落としながら、9区岸本が執念の挽回を見せた。一時はシード権争いからも大きく後れを取った東洋大学も、終盤にどうにか順位を戻して無事にシード権を獲得。やはり地力に勝るチームは、総合力で戦うということなのだろう。

それにしても、今年の目玉は中央大学だった。名門ながら、注目を集めるポジションにはいなかった近年だが、吉居大和と中野翔太が連続して区間賞を取ると、最後まで順位を落とさずに2位でフィニッシュ。来年の100回大会に向けて、強化が進んでいるようだ。全般的にレベルが上がりつつも各校の差は小さくなっているようで、繰り上げスタートが減少していたのは歓迎すべきこと。やはりリレー競技は、襷をつないでこそ意味がある。

大会終了後に駒大の大八木監督の退任が発表されたが、日本テレビの中継では異常なほどに大八木監督への賛辞が続いていたので、恐らくは退任情報がリークされていたのだろう。実況アナウンサーが執拗に解説の渡辺康幸に大八木礼賛コメントを仕向け、何度もわざとらしいまでの美辞麗句が尽くされた。後任となる藤田敦史コーチへの賛辞もあったので、明らかに仕組まれたコメントだったのだと思う。

「学生に練習内容を任せる」スタイルに変えたことも褒めていたが、思いのままに選手を起用したり、「親になったような気分」とはいえ選手を駒のように扱う声掛けをしたりと、結局は古い価値観でしかない。それは駅伝業界のスタンダードらしく、1区で新田以外に全員が監督の指示に従って様子見に走ってしまっていたが、選手が臨機応変に判断してこそ大学教育の一環たり得るのではないだろうか。