【大分―秋田】絶望的な無策

使える選手が限られている事情はわかる。もちろん、負傷者があまりにも多いことがベンチの責任でないとは言えないのだが、いったいどんなゲームプランだったらこんな無様な試合ができるのだろうか。DAZNの実況席は弓場を絶賛していたが、僕の評価がまったく違う。今日のゲームで羽田が最終ラインに落ちている以上、真ん中でゲームを作るのは誰の役割だったのか。形が作れなかった要因の最大のものは、弓場がリスクを取ろうとしなかったからで、次に言えるのは上夷もセーフティファーストだったことだ。三竿が一人でゲームメイクから前のサポートまでこなしていた姿を、他の選手はどう見ていたのだろうか。

特に井上が先制した後は、何度も今季同じことが繰り返されているが、またしてもペースを落としてしまった。形が作れないことがわかっていたがために、キープして守ろうという意識が後半立ち上がりで見えてしまった。そしてベンチは、下田を温存したいがために、無駄に時間を過ごしてしまう。ミッドウィークにゲームがあるときに、2試合を70%の陣容で臨んではいけないのだ。今の大分は、どちらかのゲームで勝ち点3が取れれば御の字なのだから、今日の秋田から何が何でも3を奪う必要があった。使える選手を全員突っ込んで、このホームゲームで気持ちよく勝つ。それしかなかったはずなのに、変に欲を掻いてしまったことが悔やまれる。

何もしていない無策ではないが、空論で何も結果が残らない無策が今の大分。裏を突いていた井上の使い方はマシになっていたものの、それ以外ではほぼ見るべきものがなかった。これで下手に勝ってしまうくらいなら、よほど逆転負けを喫して根底から見直すくらいのショック療法の方がよかったのかもしれない。それほどまでに、今の大分は救いのない状況なのだ。