【ドラマ】オザークへようこそ シーズン4

シーズンごとに、ファイナルに向けて出来事が収束し、想定の範囲ながらショッキングな結末を作り上げてきた本作も、ついに完結した。シーズン4の見せ場は、ウェンディの狂気が最高潮に高まってゆくところだが、単に激しいシーンばかりではなく、落ち着いた表情の中に窺えるただならぬ気配をローラ・リニーが現実感を持って演じている。バード夫妻の暴走ぶりに対し、同じく悪事を働いているのに人間味が感じられるルースに感情移入してしまうのは、制作陣の思い通りなのだろう。ジュリア・ガーナーの口元や歩き方まで気を抜くことのない演技も、圧巻としか表現の仕様がない。

エンディングは「そうなるだろうな」とは思っていたものの、やはり少し残念な方向。imdbの評価が高くないのは、おそらく僕と同じ感情によるのではないだろうか。最後のシーンに象徴されているのは、「家族」あるいは「血」の呪いというところだろうか。個人的には、ずっと断ち切りたいと考えて生きてきたので、それを全否定されるかのような強いインパクトがあった。それは、理解はできるものの、明示してほしくない暗闇だったのだ。

暗闇といえば、欧米のドラマで感じるのは「悪事を働く環境」が十分にあること。日本のような人口過密で都市部に集中した社会では、例えば死体を遺棄するようなスペースも見つからないだろう。オザークの世界では、敷地内にいくらでも埋められる。日本なら隣人の目も厳しいし、スペースがあったとしても容易ではない。それはつまり、狭い住居の密集と監視社会が犯罪を抑止しているということを示している。安心と引き換えに、平穏を手放した。いや、そうせざるを得ない自然環境と歴史の中で、日本社会が変遷してきたということなのだ。