このゲームにグループリーグ突破を賭けているはずもない大分は、恐らくは２つのテーマがあったのではないか。まずは、リーグ戦で金沢にやられた「しっかり守ってカウンター」を今度は自分たちが成し遂げること。そして、前々節のセレッソに粉砕された自信を取り戻すことだ。特にGK西川にとって、この課題は克服しなければならない大きなものだった。
しかし、羽田の不用意なプレーが、その機会を台無しにしてしまう。それまでは、それなりに守れていたし、攻撃ではサムエルに預けて時間を稼ぐというワンパターンだったが、それは逆に言うと戦術が徹底していたということだろう。羽田がレッドカードに値したかと言われれば疑問ではあるが、取られても仕方ないプレーだった。そこをしのいだ西川は、思わぬ形で自信を取り戻すことになる。これは不幸中の幸いだ。
後半に入って、最初の失点はどうしようもない。2点目は坂が寄せきれず、３点目は上夷があえて詰めずに打たせてしまった。このあたりはDFのプレーとしてかなり不満の残るものではあるが、もう1枚DFを失うことが許されない状況にあったのだから、その点は割り引いて考えてもよいのかもしれない。
振り返ってみて、西川と弓場はある程度自信を取り戻したことだろう。高畑も可能性をつかんだように思う。一方、坂と上夷、羽田そして小出の出来は残念だし、自信をさらに失ってしまったことだろう。使えるDFの足りない危機的な状況の中で、誰もチャンスをつかめなかった。エンリケ・トレヴィザンはよいお手本だったのだが、あのようなプレーで引っ張れるDFを夏のウィンドウで獲得することはマスト。好調だった攻撃陣も研究され始め、そうそう形を作れなくなっている中、守備の立て直しは急務だ。
